実録ドキュメンタリー小説
「荒唐無稽裁判」
この話は現在進行形の実話です(名前や場所などは仮名です)。
お知らせ
連載第1話「荒唐無稽」
「荒唐無稽」 とは・・・
言葉や説明に根拠がなく、馬鹿げていること、でたらめであること。
荒唐は,でたらめで馬鹿げていること、無稽は,根拠がないことの意。
わたし達は、日々ニュースなどで理不尽で悲惨な出来事を知り、憤ったり
憐れんだりしている。。。
しかし、また次のニュースが流れ次のシーンに切り替わると、先程までの憤り憐れみも流されて薄れてしまい、日が経てば、完全に忘れてしまう。
だが、他人事ではなく、自分の身に理不尽で悲惨な出来事がふりかかって
きたらどうか。当事者になってしまったら簡単に忘れることなどできない。当然そのことに立ち向かおうとするだろう。
しかし、相手が巨大であった場合、立ち向かっても逆に打ちのめされる。
さらに打ちのめされ、だんだんと諦める。そして、日々の時間に流される。まさにこれが現実かもしれない。
だけど、私は何度打ちのめされ、傷つき続けても絶対にあきらめない。
私は、自分の身に起きたこの「荒唐無稽な裁判」について、間違ったことはしていないのだから、法律や裁判官という正義の味方が助けてくれると思っていたら、逆に打ちのめされ、弱い物や正直者の声がかき消されていくのを実際に体験させられた。
これが現実の社会なんだとだんだん実感し、子供のころになりたかった正義のヒーローなんていないんだと実感した。
政治家は正直者の善人ではないというイメージはあったが、裁判官や警察や公務員などの不正や汚職は、どこか外国の話だったり映画のフィクションの話で、自分が住んでいる日本では、そんなにおかしなことは起きていないと思っていた。
しかし、それがそうではなかった。裁判は、まさに荒唐無稽なレベルだった。
正しい事が正しいと判断されず、守られるべき真実が守られず、クズ紙のようにゴミ箱に捨てられた。現実の世の中は、正しい事を曲げても、自分の立場を守りたいという人が多いことを知らされた。
というか、いざその場になれば、正義ではなく保身最優先で、みんな全員そうなってしまうのだと分った。
そして、自分の立場が大きければ大きいほど保身最優先となり、さらに自分一人ではなく同じ立場の者で束になって守りを堅くするのである。
この話は、嘘をついて他人の土地を自分の者にしようとする悪者と裁判官とが束になって、私たちを打ちのめそうとしている話である。
二〇二〇年の夏のある日、妻から最近なんか母親の元気が無いと聞かされた。妻の母は、日頃から自分勝手に自分の好きなように生きてきた典型的な田舎の明るい(明るすぎる)おばちゃんで、東広島高屋におじいさんと猫と住み。畑いじりをしたり、卓球をしたり、趣味の下手の横好きレベルな俳句をしたり(自分の俳句の本を自費出版までした)、田舎で自分なりに
楽しく元気に暮らしている人だった。
自分勝手に好きなように生きてきたと書くと我儘なようであるが、確かに実際わがままなとこもある(笑) ただ、子供のころから貧乏で苦労をしたので根性はあるし、間違っていることが大嫌いで、自分だけが得になるようこともせず、有る意味で女性っぽくない、細かいことは気にしない、大雑把で器の大きな女武田信玄(笑)のような人である。
そんな、明るいのがとりえのお義母さんの元気が無い?。。。
妻は親譲りで気にしていないが、私としては女信玄の元気が無いというのは、普通のことではない気がして、次の休みに妻の実家に寄ってみることにした。
車で実家に着くと、お義母さんの愛猫のミューが出迎えた。三毛猫で二代目だ。一代目ミューは妻が高校生の時拾って15年生きた猫だった。二代目ミューは、私の娘が拾ってきたのだが、マンションでは飼えないので、それで妻の実家で飼ってもらっている。都会ネコと違ってまさにノビノビと育ち、義母さんのように自分ネコ勝手に生きている感じである。
ところが、その日の義母さんはやはりなんとなく元気が無い。いつものように手料理(あまり上手ではないがたくさん作りたがる系)で、ご飯を一緒に食べながら話していたが、なんとなく明るさに陰りがある気がする。
ちなみに、義父さんは大変に無口な人で、めったにしゃべらない。もぐもぐと食べている。食べ終わったらそそくさと自室に帰ってしまった。残ったミューに、「好き勝手しゃべるおばあさんの相手は苦手みたいじゃね~」と、猫と話をするお義母さんは、実は何か言いたくないことがある感じがする。
「お義母さん、なんか元気ないですね。」ふと口をついて出た言葉に、まるで戦いに負けた女信玄のような目で、実は・・・と言いづらそうに話し始めた。
自分の生まれ育った土地を、隣人に貸していたら、貸していた人に取られそうになって裁判になっていて、今度第一審の判決が出るんだけど、気になって気になって、、、それで最近は不眠症で眠れなくなってしまったというのだ。
私も妻も、まったく何も知らされいなかったので大変びっくりした。
本人曰く、裁判沙汰というのはなんかよくないイメージがあるから言いずらかったとのこと。
突然、身内の人間に「実は裁判しとるんよ。不眠症になってしまった。」と告白をされた時の驚きを、ちょっと想像してみてほしい。かなり驚くことである。だが、後から起こった荒唐無稽な出来事に比べれば、全く小さな驚きだった。
次回第2話は、75才のお義母さんが、裁判をするために一人で立ち上がり
立ち向かった「女信玄の宣戦布告」。