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実録ドキュメンタリー小説

「荒唐無稽裁判」

この話は現在進行形の実話です(名前や場所などは仮名です)。

お知らせ

連載第3話「初めてのお使いならぬ初めての法律事務所の巻」

和枝義母さんは、実家の隣家である盆地(ぼんじ)から、田んぼの名義を書き換えろという突然の脅しのような電話に対して、お宅には絶対にうちの田んぼは譲りませんと宣戦布告をした日から眠れない日が続いていた。

そして、その年の暮れごろに、和枝義母さんの元に裁判所から通達が届いた。あの電話の後、何の音沙汰もなかったので、それはまったく予期していないことだった。送り主が「○○○裁判所」となっている封筒をしばらく開けることができなかった。なんとか気をとりなおして、封を開け、入っていた紙を広げて書いてある文章に目を通す、、、「原告」という文字と「被告」という文字が目に飛び込んできた。

和枝義母さんにとって、「原告」「被告」という文字は、実際に自分のこととして見るのは初めてであり、息をするのも忘れるくらい衝撃的なものだった。こちらが善意で貸していた田んぼを自分のものにするために、私を裁判で訴えたのか?!という驚きと、ここまでするのか?!という怖さを感じた。

怖さを感じたのは、昔はお互い仲良くやっていたのにという思いがあったからだ。盆地(ぼんじ)はただのお隣さんではなく、山の中の小さい部落での隣同士で、墓地も隣同士で、同じ川野という姓から親戚だと思っていた関係だった。年末の餅つきを盆地(ぼんじ)の家で毎年一緒にやっていたことは、子供心にとても楽しみな行事だった。その頃のことは今でも懐かしく思い出せる。そんな懐かしい思い出を共有している相手が、正式な裁判で訴えてきたのが、和枝義母さんにとっては、まさか裁判に訴えたなんてと、とても信じられなかった。。。

しかし、普通ならどうしようとうろたえ、とりあえず家族に相談でもするところが、さすが女信玄は違う。裁判にかけられるのなら、それなりの対応をしなければならぬと思い(腹をくくり)、すぐにネットで調べたのである。

何を調べたか、それは法律相談事務所をである。自分の身が裁判にかけられたとはいえ、自分にはドラマでみたようなイメージしかない。一体全体どういうような事になるか皆目見当がつかない。であれば、まずはその道の専門家に聞いてみるしかないであろう。そう女信玄は思ったのである。


時代も変わったものである。信玄(女)がネットである。それもすぐに見つけたい事が見つかるのである。ネットで「法律 相談」と検索をしたら、「無料の法律相談を受けたい - 法テラス」というのが1ページ目にすぐ見つかった。しかも「無料」というのは、「原告・被告」という文字とは真逆のとても良い感じがするわけで、早速その無料の法律相談を受けることにした。

ちなみに、法テラスというのは、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所で、もし皆さんも何か法律のことで困ったら、この法テラスに相談するのが良いと思います。まさに法律トラブル初心者のためのものです。

一回の相談時間は30分程度で、1つの問題につき3回まで相談できるということだったので、30分では説明しきれないと思った和枝義母さんは、事前に相談事をまとめてパソコンで打って持参した。まるでよく仕事が出来る部下のようである。

後で話を聞いた時に、お義母さん偉いね~っと褒めたら、不要な言葉が多いという自覚があるので、自分でしゃべる前に読んでもらった方がよいと思ったと言われた。実際、この後、弁護士が付いてからの裁判の過程において、もう本当に不要な言葉満載で収拾がつかない思いをするはめになった。。。

さて、その30分の法律相談の結果、対応してくれた弁護士さんが嬉しいことに、「勝てます」と言ってくれたのである。それを聞いた和枝義母さんは裁判を受けて立つことを決断した。勝気は強いが、勝てない裁判(戦い)はしたくないという現実的な勘定もあったと、思い返しながら語るその姿は、まさに戦に挑む女信玄のようであった。

戦いを決意した和枝義母さんは、またネットで、今度は無料ではなく正式に弁護を依頼できる弁護士を検索して探したところ、これまたすぐに山上法律事務所という市内でわりと手広くやっている法律事務所をみつけ、ここは何だか聞いた事があると思い、早速そこに弁護の依頼をしに翌日には出かけた(動きが早い!)。

最初に依頼した時に、基本的にかかる費用としての弁護料を支払ったが、弁護士に正式に依頼したこの時点でも、和枝義母さんは、このことを誰にも相談していない。本人としては、裁判というのは、重くて大変な事というイメージがあるので、そういう事をしているという目でみられたくなかったとのことだった。このあたりが、女信玄といえど、やはり女性という感じである。

だが、とにもかくにも、初めてのお使いならぬ初めての法律事務所は、ネットの力のおかげで、スムーズに無事できたのである。

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